肝臓の働きとは
代 謝
食べ物からとった糖・たんぱく質・脂肪を体内で使える形に変えて貯蔵し、必要なときにエネルギーのもととして供給します。
解 毒
アルコールや薬、老廃物などの有害な物質を分解し、からだに影響をおよぼさないように無毒化します。
胆汁生成・分泌
肝臓でつくられた老廃物を流す「胆汁」を生成・分泌します。胆汁は、脂肪の消化吸収を助ける消化液でもあります。
肝臓の働きをよくするには
肝臓には、ビタミンを蓄える働きがあります。肝臓の機能が低下するとビタミンの貯蔵能力が落ちてしまうので、ビタミンを十分に補給することが必要です。特にビタミンA、C、E、B1、B12を積極的にとりましょう。
肝臓の働きを助ける食べ物
もやし
一見、栄養がなさそうにみえるもやしですが、実はビタミンB1、B2などのビタミンB群が含まれています。ビタミンB群は肝機能を正常化させる働きをします。また、もやしは良質の植物性たんぱく質を多量に含んでいるので弱った肝臓を元気にしてくれます。
ごま
ごまに含まれるセサミンという成分は肝臓の機能を高めたり、保護する働きがあります。ごまの抗酸化力は活性酸素を除去し、生活習慣病を予防し、アルコール代謝促進による肝機能保護に役立ちます。
みそ
発酵食品のみそには、たんぱく質、ビタミン、ミネラルが豊富に含まれていることや、みそ独自の有効成分もあり、健康食品といってよいでしょう。みそには肝臓の解毒機能を高め、がんを予防する効果があるといわれています。
しじみ
昔から肝臓が悪くなったらしじみのみそ汁を飲むとよいと言われてきました。しじみにはタウリンというアミノ酸の一種が含まれており、肝細胞の膜を丈夫にする働きがあります。また、血液中の中性脂肪を減らす働きもあるので、脂肪肝の予防や改善にも有効です。
肝臓の働きと飲酒について
肝臓は「人体の化学工場」そして「沈黙の臓器」。 生命維持に必要不可欠な働きをしている肝臓ですが「沈黙の臓器」ともいわれ、悪くなっても初期にはほとんど症状がありません。ですが、過度な飲酒により最も障害を受けやすい臓器が肝臓です。
アルコール性肝臓病は「脂肪肝」→「アルコール性肝炎」→「肝硬変」と進行します。飲酒量が多いほど、また飲酒期間が長いほど、肝臓は障害を受けやすいですが、その程度は年齢・性別・アルコール代謝能力などによって大きく異なります。
脂肪肝 | 飲酒による初期の肝臓病です。症状はないことが多く、腹部超音波検査などで見つかります。最近では、肥満や糖尿病による脂肪肝も増えており、飲酒によって相乗的に肝臓が悪くなる可能性があります。脂肪肝の段階であれば、飲酒をやめれば短期間で回復します。 |
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アルコール性肝炎 | さらに飲酒を継続すると肝臓に炎症が発生し、アルコール性肝炎の状態になります。多量飲酒をきっかけに、腹痛、発熱、黄疸などの症状が出現し、死に至るケースもあります。 |
肝硬変 | 重篤な症状としては、腹水、黄疸、吐血などがみられます。断酒を行えば肝機能は回復することありますが、一度肝硬変になると元の元気な肝臓には戻らず、再飲酒するとすぐに悪化してしまいます。また、飲酒を続ければ、多くの場合、死に至ります。 |
アルコールに強い・弱いは、アルコールを分解する酵素の働きが強い人・弱い人・全く働かない人に分かれており、遺伝子が関係しています。訓練で変わるものではありません。アルコールに弱い人(少量の飲酒で顔が赤くなる人)が習慣的に飲酒をすると、食道がん・ 口腔がん・咽頭がん・喉頭がんの発生が高いことわかっています。
肝臓の働きとアミノ酸
生体の重要な成分であるたんぱく質は、アミノ酸からできています。肉や魚に含まれているたんぱく質は、小腸でアミノ酸に分解されてから吸収され、肝臓に運ばれます。
食品から得られるアミノ酸は約20種類ありますが、フェニルアラニンなどのように、人間の体内では合成されず、食物から摂取しなければならないものを必須アミノ酸といいます。成人では9種(バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン 、リジン、 メチオニン、 フェニルアラニン、 トレオニン、トリプトファン)、の必須アミノ酸が、生体活動に必要となります。
肝臓では、このアミノ酸からさまざまなたんぱく質が毎日約50g合成されています。そして、使われないアミノ酸は分解され、窒素酸化物(ちっそさんかぶつ)、アンモニアを経て尿素(にょうそ)となり、尿中に排泄されます。
肝臓は、このたんぱく質合成によって、人体にたいせつなはたらきをする血漿(けっしょう)たんぱく質をつくり出し、血液中に放出しています。
肝機能が弱っている人は、たんぱく質を多く摂ることよりも、良質のたんぱく質(必須アミノ酸を多く含む)をバランス良く摂ることが重要になります。
特にBCAA(分岐鎖アミノ酸)摂取は重要
肝機能が衰えると肝臓の代わりに筋肉がその役割を担います。
筋肉においてBCAAがアンモニアの解毒や、エネルギー源として使われるため、BCAAは不足してしまいます。従って、 肝機能低下時にはBCAAの補給が必要となります。